大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)771号 判決

そこで進んで前記工事は右特約(賃借人が賃借地内において建物の新築又は造築改造その他主要部分の大修繕をしようとするときは賃貸人の承諾を受けること、もし賃借人がこれに違反したときは何らの催告なくして賃貸借契約を解除することができる旨の特約)に違反するか否かについて判断する。前記無断改造その他大修繕禁止の特約の趣旨は土地賃貸借の性質、貸主と借主との相互信頼関係等に鑑み、増改築一切の場合を含めてその許否を無制限に貸主の恣意に委ねるものではなく、これによつて貸主の利害に特に悪影響を及ぼす場合、(例えば被控訴人が本件賃貸地に隣接する控訴人所有土地の使用を困難ならしめるとか、控訴人所有土地を日陰にして利用度を低下させるとかの場合)に限られるものと解するのが相当であり、この程度に至らないものについては、貸主は同意を拒み得ない(換言すれば借主はこの程度の工事については貸主の同意をまたないで施工し得る)ものと解するのが賃貸借の本旨に合するものと考えられるのであるが、前記の改造は前記認定の事情の下では本件建物の維持、保存のために欠くことのできないものであり、且その使用上の便宜を多少増進するために為されたに過ぎないもので前記の事例にみるように貸主を不当に不利益な立場におとし入れるものでないことは明かであるから、この改造工事を以て前記特約違反と認める訳にはいかない。だから右無断改造工事を理由として本件賃貸借を解除することは許されないものと云わなければならない。

(梶村 岡崎 堀田)

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